アダルトチルドレンに効果のある克服方法とは、「過去の記憶を癒し、現在に対する過去の影響を断ち切ること」です。
アダルトチルドレンの4つの回復プロセスとNLP(神経言語プログラミング)を組み合わせると、比較的速やかに過去の影響から自由になれます。
- アダルトチルドレンの克服方法とは?
- 4つのアダルトチルドレンの回復プロセスとは?
- アダルトチルドレン克服に効果のあるNLP
- アダルトチルドレン克服に効果のあるマインドフルネス
この記事を読めばアダルトチルドレンの克服方法がわかり、過去を癒すことの大切さを知ることも出来ます。
目次
アダルトチルドレンの克服とは?
アダルトチルドレン(AC)の克服とは、過去の記憶を癒し、現在に対する過去の影響を断ち切ることで、機能不全家族の中で起きたトラウマや価値観、考え方や行動パターンから抜け出し、親の影響から解放されて生きやすくなることです。
親の影響から抜け出すと、本来の自分に戻り、今までの人間関係ではない新たな人生が開けます。
そのためには、簡単に言うと、機能不全家族で育った記憶の中のトラウマを癒す必要があります。
アドラー心理学において「トラウマは関係ない、トラウマは置いておいて、未来を選択するのはあなただ」と言われますが、あの考え方で意識的に制御できるのは、ほんの些細なトラウマです。
アドラー心理学は、哲学的な部分があり、理想はそうですが無意識を意識で制御することは簡単ではないのです。
もっと言うと、ほんの些細なトラウマも人生に影響を与えることはわかっています。
トラウマに人生を左右されてしまうのは当たり前なので「心の弱さ」ではありません。
アダルトチルドレンはネーミングの影響もありますが、子どもっぽいことでも、昔のせいにしているわけでもなく、実際につらいことなのです。
かにまろ
トラウマは些細なことだからと思っても、思っている以上に人生にダメージを受けていることが多いです。
こちらもお読みください。→アダルトチルドレンとは?
クラウディア・ブラックの提唱する「4つのAC回復プロセス」
アダルトチルドレンの回復のアプローチとして、クラウディア・ブラック博士は「回復のプロセスを支える4つのプロセス」を取り入れることが必要だと言っています。
クラウディア・ブラック博士の提唱する4つのプロセスは以下のとおりです。
- 過去の喪失を探る「傷ついた出来事は何か?」「手に入らなかったものは何か?」
- 過去と現在をつなげる「過去の喪失は今の自分にどう影響しているか?」
- 取り込んだ信念に挑む「過去の信念は今必要か?」「手放すべきか?」
- 新しいスキルを学ぶ「別の方法を学んで過去のやり方を繰り返さない」
まずは、ステップ1「過去の喪失」を探ります。
あなたにとって傷ついた出来事を探していくのです。
トラウマなどのわかりやすい大きな傷もあれば、表面化していない小さな傷もあるでしょう。
ただ、あまりに苦しくなりそうな場合は、一旦お休みして少しずつ取り組みましょう。
そして、ステップ2その傷ついた過去は、あなたにどのような影響を与えているのでしょう。
共依存の相手とばかり付き合うなら、両親の影響があるかもしれません。
苦手な対象は親のような人だと気づいている方もいるでしょう。
このステップ1とステップ2は行き来しながら、自分のネガティブなパターンを浮き出すことが出来ます。
そしてステップ3、過去の信念を手放すです。
ただ、クラウディア・ブラック博士も著書の中でおっしゃっっていますが、「親のようにならない」と言いながら何年も親と同じことを繰り返す人の多いのがACの特徴です。
マイナスの信念を手放すことは、なかなか容易ではありません。
その信念を手放すためには、あとでお伝えするNLPが早いと思います。
考えて手放すのではなく、無意識から手放すので無理なく生きづらさを克服できます。
そして、ステップ4繰り返さないための新しいスキルを学ぶです。
怒られて育ったなら、自分の子どもに怒らないというやり方、新しい選択肢を選ぶという意味になります。
ですが、ここもステップ3の古い信念がこびりついていると、頭ではわかっていても感情が出てしまったりする部分です。
ステップ3とステップ4はつながっているため、無理なく癒し選択肢を広げるNLPがおススメです。
かにまろ
心理的なスキルのポイントは「実感して変化が起きるかどうか」です。頭でわかっても出来ないことはたくさんありますよ。
クラウディア・ブラック著『子どもを生きればおとなになれる』(アスク・ヒューマン・ケア 2003/7/30)
こちらもお読みください。→機能不全家族とは?
アダルトチルドレンが癒すべき親の影響
アダルトチルドレンの生きづらさである親の影響は大きく分けて二つあります。
一つは親のコピー学習、もう一つは親の影響から学んだ「歪んだ反面教師的学習」です。
ただ、普段は反面教師的学習は良い方に捉えられますが、歪んだ学習は子どもに悪い影響を残します。
- 親のコピー学習(例)怒りっぽい親の子どもが怒りたくないのに怒りやすくなる。行動面では「されたことをしてしまう」パターン。
- 歪みに合わせた反面教師的学習(例)親が親の役割を放棄している場合に、子どもは生き残るために大人びた役割や行動をする。
人は無意識的に生まれた時から身近な人を模倣していきます。
学習は生まれた時から始まっているのです。
親がアダルトチルドレンや嗜癖(しへき)問題を持っていた場合に、子どもが同じ問題で苦しむことが多々あります。
これをいわゆるアダルトチルドレンの世代間連鎖と言います。
世代間連鎖は遺伝なのか?環境なのか?
アダルトチルドレンの親の影響は、遺伝と環境の両方と言えるでしょう。
現在の通説は、子どもに与える影響は「遺伝も環境も両方」です。
ですから、アダルトチルドレンの親からアダルトチルドレンの苦しみは連鎖しやすいのが当然なのです。
アダルトチルドレンという言葉が広まるきっかけになった、クラウディア・ブラック博士は著書の中で世代間の連鎖について次のように述べています。
まえがき
中略
彼らは皆、自分にこう言い聞かせていました「私は親のようにはならない」。自分の親がしたのと同じことはするまいと心に決めていたのです。ファミリー・グループに参加していると、夫たち、妻たち、パートナーたちから同じ話を聞きます。この人たちもまた、嗜癖家族で育ち、同じ言葉を繰り返してきたのです。この人たちは自分が親のようになるとは夢にも思っていませんでした。しかし、親のようにはならないという言葉が本心からのものだったにもかかわらず、彼らはアルコホリックと結婚しました ー 中には二度、三度とアルコホリックと結婚した人もいます。今日、彼らは皆、何年も前、私が最初に『私は親のようにならない』を書いた当時の嗜癖者とその家族と同様に、嗜癖のサイクルを繰り返しているのを目の当たりにして愕然としています。遠からず、彼らの子どもたちはこの言葉を木霊のように繰り返すようになります。今日の成人した子どもたちは、自分が嗜癖とともに育ち、いまだにその影響を受け続けていることを、前にも増して確認できるようになっています。次の世代の子どもたちは、混沌と恐怖の中で、自尊心を取り戻すために戦い続けなければならないのです。
中略
出典:クラウディア・ブラック著「私は親のようにならない 嗜癖問題とその子どもたちへの影響」
誠信書房(2004/7/10)
こちらもお読みください。→毒親育ちは子育てが辛い
アダルトチルドレン克服ポイント:各タイプ別
アダルトチルドレンの克服には各タイプで注目すべきポイントがあります。
機能不全家族内の家庭環境や親の関わり方によって違いが表れます。
ヒーロータイプの克服ポイント
アダルトチルドレンのヒーロータイプの克服ポイントは、親の期待や誰かの期待から自由になって、自分の意思で自分のために行動するということです。
また、相手を守りたくなることと引き換えに承認欲求を求めますので、自分を自分で満たしていく努力が必要です。
ピエロ(クラウン、マスコット)タイプの克服ポイント
アダルトチルドレンのピエロ(クラウン、マスコット)タイプの克服ポイントは、おどけたりする必要を感じる過去のトラウマの経験を根こそぎ癒していくことです。
そうすることで、笑い癖もなおり、不安や緊張なく穏やかな気持ちで過ごすことが可能です。
スケープゴートタイプの克服ポイント
アダルトチルドレンのスケープゴートタイプの克服ポイントは、彼らが苦しむ元凶となる虐待や暴力、精神的虐待や性的虐待、否定、ネグレクト(育児放棄)などの悲しい過去のトラウマを解消することです。
トラウマを解消すると、心の平穏が訪れ、派生する問題も解決しやすくなります。
プラケータータイプの克服ポイント
アダルトチルドレンのプラケータータイプの克服ポイントは、親や他人への感情に寄り添いすぎる結果起きる共依存の克服です。
依存心をなくし、自立心を養い自分の足で歩くという感覚をもつことが重要です。
イネイブラータイプの克服ポイント
アダルトチルドレンのイネイブラーの克服ポイントは、第一に共依存を生み出してしまう世話焼き行動を一切やめることです。
相手の責任と自分をわけて、自分をまず優先にしてお互いが苦しむループを断ち切ることです。
ケアテイカー(リトルナースタイプ)の克服ポイント
アダルトチルドレンのケアテイカー(リトルナース)の克服ポイントは、お世話をすることで相手に過干渉しすぎることをやめることです。
他人からの承認を求めるあまりにお世話をしすぎて疲弊しないことがポイントです。
プリンス(プリンセス)タイプの克服ポイント
アダルトチルドレのプリンス(プリンセス)タイプの克服ポイントは、親からの過干渉の影響を抜け出し、共依存をやめることです。
親の過干渉を抜け出したら、自分の感情や意思を取り戻し、自分で選択する自由を勝ち取るのです。
ロストワン(ロストチャイルド、ロンリー)の克服ポイント
アダルトチルドレンのロストワン(ロストチャイルド、ロンリー)の克服ポイントは、人間関係を苦手にした親の過去のネグレクト(育児放棄)や過干渉ののトラウマを根こそぎ癒すことです。
トラウマを癒すことで、距離を置いていた人間関係が自然と平気になっていきます。
アダルトチルドレンの克服ポイント:各タイプまとめ
アダルトチルドレンのタイプ別克服ポイントは次の通りです。
- ヒーロー「英雄」:期待を背負う、共依存
- ピエロ(クラウン、マスコット)「道化師」:トラウマの解消
- スケープゴート「生贄」「身代わり」:トラウマの解消
- プラケーター「慰め役」「小さいカウンセラー」:共依存
- イネイブラー「世話役」「救済者」:共依存
- ケアテイカー(リトルナース)「世話役」「支え役」「小さい看護師」:過干渉する、共依存
- プリンス(プリンセス)「人形」「優等生」:過干渉される、共依存
- ロストワン(ロストチャイルド、ロンリー)「いない子」「迷子」:ネグレクト(育児放棄)、過干渉のトラウマ解消
アダルトチルドレンの克服方法
先ほど4つの回復プロセスを学びましたが、このプロセスを踏んで過去の経験・記憶を癒すことが必要です。
そして、過去を癒し、新しい選択肢を取り入れると、今までの生きづらさから解放されます。
NLPのワークやマインドフルネスをご紹介します。
トラウマを解消するNLPワーク
NLPではトラウマを解消するワークがいくつもあります。
過去のトラウマは、普段見えなくても漠然とした緊張感や不安感とつながっていて、パニック症状や強迫性症状を起こすこともあります。
NLPのトラウマ解消ワークには戦争後遺症を癒したことで広まったワークもあります。
自己肯定感を育むNLPワーク
生きづらさを抱える原因として、根っこの自己肯定感が育っていないことがあげられます。
自己肯定感は「ありのままの自分」なので、条件付きで褒められたりしてもあがりません。
また、何かが出来て達成感を得る「自己効力感」とも違います。
アダルトチルドレンの方は、親がそもそも「ありのままの存在価値」を理解していないため、相当傷ついているか育っていません。
自己肯定感を育み、自分に対する信頼を取り戻す必要があります。
インナーチャイルドを癒し育てなおすNLPワーク
傷ついた「過去のうちなる子ども」を癒すことで、過去の置き去りになった感情を救うことが出来ます。
幼少期の傷つき体験は、子どもらしさを奪われたために、その後の健全な成長を邪魔しています。
インナーチャイルドを癒すことは、あなたにとって「癒される経験」と「癒す経験」になって統合されていきます。
そのため、子どもとしての成長と大人としての成長が掛け合わされ、癒しがぐんぐん進み、生きづらさの回復につながります。
インナーチャイルドについてはこちらをご覧ください→インナーチャイルドとは?
感情や感覚を癒す無意識のNLPワーク
生きづらさを漠然と抱えているというのは、本人の感覚にしかないところです。
その感覚や感情自体を癒していくことがNLPでは可能です。
不思議な話と思われやすいですが、無意識のその「感覚」の意図を大切に扱い手段を変えてもらうことで苦しみが和らいだりします。
触覚の感覚に優れている人は、ぐんぐん癒されます。
他者との人間関係を学びなおすNLPワーク
アダルトチルドレンの方は親との関係がネガティブな意味で強固であったため、他者との関係を学びなおすとさらにいい結果が出ます。
相手の立場に立てるようになったり、第三者目線になったり、メタ認知を学ぶことが出来るのです。
他者との人間関係を学びなおすと、より自分の世界が広がり自由になれます。
新しい行動を取り入れるNLPワーク
クラウディア・ブラック博士の4つの回復プロセスのステップ4「新しいスキルを学ぶ」ですが、NLPでは様々な意味で選択肢を拡げられます。
実際の人間関係の関わり方として、コミュニケーション時の選択肢を広げることも出来ます。
また、新しい行動や習慣を実際に取り入れたり、ネガティブな行動や習慣を手放すことも出来ます。
マインドフルネス
マインドフルネスも日常に取り入れることで、アダルトチルドレンの克服につながります。
マインドフルネスはやればやるほど成果が加算されると科学的に証明されています。
マインドフルネスは、心に浮かぶことをそのままにし、解釈せずに感じ続け手放す方法です。
セルフ・コンパッション
セルフ・コンパッションはマインドフルネスの一つで自分に対して慈愛を向ける方法です。
自分に慈愛を向けて癒すことで、生きづらさはどんどん回復していきます。
生活習慣を見直す
精神疾患の方へ福祉の現場でNLPのプログラムを提供してきましたが、生活習慣の乱れも心理に悪影響を与えます。
見直して欲しい生活習慣は次のようなものです。
詳細はリンク先をご覧ください。
アダルトチルドレンの講座やカウンセリング
アダルトチルドレン(AC)の方の克服ポイントはネガティブなパターンの元になる過去の経験です。
様々な折り重なった複雑に見えるパターンも、経験を一つずつ解消していくと思ったよりも早く楽になります。
NLP(神経言語プログラミング)は経験を無意識から癒していくため、考え方は自然に後から変わっていきます。
機能不全家族で生まれたアダルトチルドレンの人々に、最適な癒しをお届けします。
アダルトチルドレンの生きづらさを変える方法
アダルトチルドレンの生きづらさを克服するには、潜在意識がもっている過去の経験のつらい記憶を癒していくことが近道です。
そうすると、今まで囚われていたパターンから抜け出します。
そして、人生好転の歯車が回りだすのです。
もし、アダルトチルドレンの生きづらさも人生もまるっと改善したいなら、どうぞ↓をご覧くださいね。
以下の記事を合わせてお読みいただくとアダルトチルドレンへの理解が深まります。
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