インナーチャイルドとは、大人になっても幼少期のトラウマなどを引きずっている場合に、心の傷を表す表現の概念です。
このインナーチャイルドについて、この記事では詳しく説明したいと思います。
- インナーチャイルドとは?
- インナーチャイルドの見つけ方、理解の仕方、癒し方、現実への適応の仕方
- インナーチャイルドを癒すメリット
- アダルトチルドレンとインナーチャイルドの関係
この記事を読めばインナーチャイルドのことがわかり、その癒し方を知ることが出来ます。
目次
インナーチャイルドとは?
インナーチャイルドとは、幼少期にトラウマなどで傷ついた心の中の状態を表す言葉です。
インナーチャイルドは「過去の内なる子ども」とも言います。
本来子どもには「無条件に受け入れられる経験」というものが必要です。
子どもらしさを含め、すべてを受け入れられて初めて、心ゆくまで満たされ健全で成熟した大人になれるのです。
そうすることで、安心感を心に抱きながら社会へ旅立つ準備が出来るのです。
しかし、この「子どもらしく無条件に受け入れられる経験」が奪われた場合、子どもの欲求は満たされません。
そうすると、子どもの心の中では、「感情や意思・欲求の抑圧」が起きます。
この様々な傷つき体験による抑圧が、大人になってからも不具合を起こしたり生きづらさのパターンを作るのです。
毒親のいる機能不全家族に生まれたアダルトチルドレンの人たちには、傷ついたインナーチャイルドが多く見受けられます。
かにまろ
インナーチャイルドは幼少期の心の傷を表している言葉です。
こちらもお読みください。→アダルトチルドレンとは?
インナーチャイルドの見つけ方
インナーチャイルドの見つけ方は、様々なことが言われます。
ですが、一番わかりやすいのはトラウマや実際に傷ついた具体的な過去の記憶を思い出すことです。
その中で辛い思いをしている「幼少期のあなた自身」がインナーチャイルドなのです。
普通に思い出すとおそらく主観的になっているので、当時の自分は見えません。
その当時の幼少期の自分を客観的に見ようとすると、インナーチャイルド(過去のあなた)が見えます。
これは多くの人が持っている客観視の能力「外から自分を見る能力」です。
つまり、過去を思いだして、自分が見えるようにイメージを動かすとインナーチャイルドを見つけることが出来ます。
インナーチャイルドとは、「過去に傷ついたあなた自身」の姿なのです。
えびちゃん
見たことないのに自分の姿を見るのが「客観視の能力」です。鏡の世界ではないですよ。左右逆です。
インナーチャイルドの理解の仕方
インナーチャイルドについて、わかりにくいという話をよく聞きます。
どのように理解したら良いか、もう少し説明してみたいと思います。
インナーチャイルドは心理療法の現場の言葉
インナーチャイルドという言葉自体は、欧米の心理療法の現場で必要に迫られて生み出された概念です。
過去の幼少期に傷ついた経験をしている人たちが、大人になってもそのトラウマ体験で傷ついていて、乗り越えられていないことから「インナーチャイルド」という言葉が生まれました。
傷ついた彼ら大人の心の中に「過去の内なる子ども」が住み着いていると表現したのが、アメリカのジョン・ブラッドショーです。
ジョン・ブラッドショー著『インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法』(NHK出版 2001/2/25)
象徴的に理解しようとすると難しい
多くのセラピストさんは、インナーチャイルドの説明を象徴的に終わらせています。
ここが伝わりにくい部分で、「インナーチャイルドを感じてください」とだけ言われると、よくわからないというクライアントさんが多くなってしまいます。
ですから、具体的な過去を思い出してもらい、それを客観視することがわかりやすく癒しやすいと思います。
癒し方はそれぞれ違う
癒し方は一人ひとり違うと思ってください。
当たり前なのですが、傷ついた経験も違えば、一人ひとりの個性も違います。
あなたの傷ついたインナーチャイルドに必要な言葉も癒し方も千差万別です。
よく一般的に言われるのが「抱きしめる」「遊ばせる」「感情を開放する」です。
これらがいけないのではなく、おおまかにはOKですが、あなたのインナーチャイルドの望みにあっているか?が問題です。
あなたの「幼少期に必要だったこと」が正解なので、一般的なものが正解とは限らないのです。
こちらもお読みください。→インナーチャイルド診断チェック
インナーチャイルドと発達心理学
インナーチャイルドを癒すには一人ひとりに合わせる必要があると言いましたが、発達心理学も癒しの手掛かりになります。
人間の子どもには、生まれた時から成長する段階ごとに必要な要素があります。
これらが満たされ獲得されると、自己を肯定して健全に成長していくことが出来ます。
- 好奇心(探求、探索、知ることへの欲求)
- 楽天性(世界は友好的で希望に満ちている)
- 純真さ(無邪気、素直、善悪の判断なし)
- 健全な依存(他者なしに欲求を満たせない)
- 素直な感情、情動の表出(自然な感情を出していい)
- 柔軟性、回復力(自己実現のために進み続ける力)
- 自由さ(自発的、純粋な楽しみ、喜び)
- 独自性(唯一無二、自分と自分らしさの一致)
- 愛(無条件に誰かに愛され、受容される)
これらの要素がすべて順調に獲得できるというのは、どんなに良い家庭でも簡単ではないでしょう。
なぜなら、インナーチャイルドの傷というものは「受け取り側」である子どもの「受け取り方」にもよるからです。
子どもの健全な発達には、大人からの「程よいお世話」が必要であり、過干渉やネグレクト(育児放棄)も毒なのです。
よほど子どもの欲求に焦点をあてて、自由にさせつつも、危険な時は手を出すなどのバランス感覚が重要なのです。
大人が注意するにこしたことはありませんが、簡単ではありません。
ただ、大人の関わりが極端すぎるとトラウマとなり心の傷にることは知っておく必要があります。
トラウマや傷になり、先ほどの要素が満たされないと以下の不具合が起きます。
- 無関心、警戒心(可能性の欠如、現状維持、外の世界を知ろうとしない)
- 厭世的(世界はつらく悲しいことばかり、緊張と不安、恐怖)
- 不純(不信、邪推、人への猜疑心、信頼感の欠如)
- 不健全な依存(強い依存、共依存)
- 感情の抑制、鈍麻(共感力の欠如、無表情、不自然な表情)
- 硬直的、挫折(白黒、完璧主義、融通が利かない、挫折に弱い)
- 不自由さ(主体性がない、楽しめない、喜べない、支配的)
- アイデンティティのなさ(無価値感、流されやすさ)
- 条件付きの愛(愛されるためには条件が必要)
インナーチャイルドを癒すときに、これらの要素の「自分に足りない感覚」は人それぞれだと思います。
一人ひとりインナーチャイルドの癒し方に違いが出るのは、傷つき体験や獲得できなかった要素が違うからです。
例えば、ある人のインナーチャイルドには、親の過干渉を避けることが必要かもしれません。
この人には自由な選択や意思表示が必要ですし、感情を自由に表現させることが重要です。
例えば、ある人のインナーチャイルドは、親の無関心からくる寂しい思いを優しい抱擁で癒してあげることが必要かもしれません。
この人には、何をしていても見ているよというメッセージが必要ですし、それが安心感につながります。
例えば、ある人のインナーチャイルドには、親の言いなりから逃げるために反抗を覚えることが必要かもしれません。
反抗期は「困りもの」というレッテルが張られがちですが、子どもが親離れするには反抗期は比重が社会に変わる大切な時期なのです。
適切な反抗期があるから、子どもは健全に巣立つことが出来るのです。
このように、あなたのインナーチャイルドには、あなたの傷を治すあなただけの要素が必要なのです。
かにまろ
傷もそれぞれ、それなら癒し方もそれぞれ。
よく考えたら当たり前だけれど、心の世界では複雑に捉えがちです。
こちらもお読みください。→毒親の過干渉の特徴とは?
インナーチャイルドを癒すメリットとは?
インナーチャイルドを癒すメリットは、生きづらさやコミュニケーションなどのパターンの解消が出来ることです。
トラウマや心の傷は、大人になってからも考え方や行動を縛り続けます。
ずっと不安や緊張感を抱えていたり、漠然と生きづらさを抱えていることもあります。
親のような人は苦手なのに、付き合う人は必ず親のような性質を持っているなども無意識が同じ人を引き寄せるパターンです。
幼少期に子どもらしく生きられた人ほど、成熟した安定した大人として健全に生きられます。
今からでもインナーチャイルドのトラウマを解消して、欠けた個所を満たすことで、今まで起きていた不具合が起きなくなります。
具体的には次のようなことが改善されます。
- 自己肯定感があがります。
- 自己を尊重できるようになります。
- 愛情が理解できるようになります。
- 共感力が上がります。
- 感情を自由に感じ、表現できるようになります。
- 他人の評価を気にしなくなります。
- 人を信頼することが出来るようになります。
- 人間関係を築きやすくなります。
- 安心感を感じるようになり、居場所が見つかります。
- 漠然とした生きづらさや身体症状が消えます。
- 機能不全家族(アダルトチルドレン)の世代間連鎖を断ち切れます。
インナーチャイルドの癒し方とは?
インナーチャイルドの癒し方は、過去を具体的に癒すことが出来るNLPがおススメです。
NLP(神経言語プログラミング)にはあなたのイメージを使って、何度も具体的に再現できる方法が多くあります。
仕組みが理解できて練習することで、どんどん生きづらさのパターンが解消されていきますよ。
インナーチャイルドとアダルトチルドレンの関係とは?
インナーチャイルドはアダルトチルドレンとセットで話されることが多いですね。
そもそもお互い別に生まれた言葉なのですが、関連付けて話す方が早いので、私も良く一緒に話題に出します。
アダルトチルドレンは、そもそもアルコール依存症の親をもつ子どもたちの意味でアメリカの現場で使われ始め、現在の日本では広く「機能不全家族で育った子ども」の意味になりました。
アダルトチルドレンも傷ついた過去のトラウマをたくさんもっているので、インナーチャイルドを癒す必要はあります。
そして、インナーチャイルドを癒すことで様々なパターンを解消できるのです。
アダルトチルドレンの生きづらさを変える方法
アダルトチルドレンを克服するには、潜在意識がもっている過去の経験のつらい記憶を癒していくことが近道です。
そうすると、今まで囚われていたパターンから抜け出します。
もし、ACも人生もまるっと改善したいなら、どうぞ↓をご覧くださいね。
以下の記事を合わせてお読みいただくとアダルトチルドレンへの理解が深まります。
- アダルトチルドレンのカウンセリング:ACヒーローの場合
- アダルトチルドレンのカウンセリング:ACスケープゴートの場合
- アダルトチルドレンのカウンセリング:ACプリンス(プリンセス)の場合
- アダルトチルドレンのカウンセリング:ACピエロ(クラウン、マスコット)の場合
- アダルトチルドレンのカウンセリング:ACロストワン(ロストチャイルド、ロンリー)の場合
- アダルトチルドレンのカウンセリング:プラケーターの場合
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