毒親に育てられたがために、幼少期にトラウマの経験や、心理面に歪みを抱えて成長してからも生きづらさを抱える人たちのことを「毒親育ち」と言います。
実は「毒親育ち」と言っても毒親のタイプも様々であり、色々な苦しみがあります。
毒親に育てられた「毒親育ちの子供」の特徴はどのようなものがあるでしょう。
- 毒親とは?タイプや母親と父親の特徴もご紹介
- 毒親育ちの特徴とは?
この記事を読むと毒親の特徴やタイプ、母親や父親の場合の違いや、毒親育ちの特徴を理解することが出来て、毒親育ちの克服の助けになります。
毒親の影響を克服して、人生をより幸せにしましょう。
目次
毒親とは?
毒親という言葉は、アメリカの医療機関のコンサルタントであり、グループセラピストであるスーザン・フォワードが著書「毒になる親 一生苦しむ子供」のなかで使いだした、子どもの心理的な成長に悪影響を与える親という意味の言葉です。
毒になる親とは、子どもに対して親の役割を果たせずに、虐待や暴力、精神的虐待、性的虐待、否定や支配、過干渉などをすることで、子どもが大人になってからも人間関係や心理的に生きづらさを抱えてしまうような関わりをする親のことを言います。
スーザン・フォワードは次のように述べています。
この世に完全な親などというものは存在しない。どんな親にも欠陥はあり、だれでも時にはそれをさらけ出すことはあるものだ。この私自身、自分の子供に対してひどいことをしてしまったことはある。
中略
ところが世の中には、子供に対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子供の人生を支配するようになってしまう親がたくさんいる。子供に害悪を及ぼす親とは、そういう親のことをいう。
中略
頭をよぎったのは、「有毒な」とか「毒になる」という言葉だった。
中略
このような、成長した後もなお子供を苦しめ続ける、いわば「繰り返し継続し続けるトラウマ」とでも呼べる苦痛の原因となっている親を表現するのに、これ以上ぴったりな言葉があるだろうか?
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』講談社(2001/10/20)
毒親というと、ネットスラング?と思うかもしれませんが、実際はアメリカのカウンセリング等の現場で作られた言葉です。
このブログではアダルトチルドレンも扱っていますが、この記事で説明する「毒親育ち」はまさにアダルトチルドレンと呼べる特徴を持っています。
ちなみに毒親自身の内面の特徴の例は次のようなものです。
- 価値観を押し付ける
- 子どもの気持ちや意思に寄り添わない
- 人の話を聴かない
- 共感能力が低い
- 自己肯定感が低く、自己否定感が強い
- 嫉妬や恨み、妬みが強い
- 人をコントロールしたがる
- 依存心が強い
- 絶対に非を認めない
- 他者に対して優越感を感じたい
- 相手をこきおろすのは平気
- 反省(自分を振り返る)ことはせず、他人を責める
このような心理面があるからこそ、虐待や暴力などが起きるわけです。
実は毒親の傾向を見ると、自己愛型のパーソナリティの傾向ととても類似します。
自己愛型のパーソナリティの人は、「自分が変わる」という概念が乏しく、「毒親に自覚させるのは難しい」と言われるのは、つまり毒親が自己愛型のパーソナリティの場合が多いからなのです。
私の父は亡くなったので確かめようがないのですが、まったく話し合いが出来ず、いつも振り出しに戻るということが起きていました。
自分が間違っているという言葉を一度たりとも聞いたことがありません。
自己愛型のパーソナリティの人に出会ったら、最善の策は逃げるしかないのです。
また、毒親の行動面の特徴では次のようなものがあげられます。
リンク先で詳細を確認できます。
毒親のタイプ診断(父親と母親の特徴も解説)
毒親のタイプによって、毒親育ちの子どもたちの苦しみも変わります。
ちなみにスーザン・フォワードは次のようなタイプで毒親を分けています。
- 神様のような親
- 義務を果たさない親
- コントロールばかりする親
- アルコール中毒の親
- 残酷な言葉で傷つける親
- 暴力を振るう親
- 性的な行為をする親
毒親の解説において、スーザン・フォワードが「繰り返し執拗におこなわれる」行為のことを言っていましたが、特に繰り返されなかったとしても1回でもNGなのは、「暴力」と「性的虐待」だと付け加えています。
それだけ子どもの傷は深く、その後の人生をダメにしてしまう傾向が強いのです。
これらを踏まえて、毒親のタイプを診断してみてください。
スーザン・フォワード著『毒になる親 一生苦しむ子供』講談社(2001/10/20)
毒親タイプ診断:支配型
毒親タイプの支配型とは、明らかに神様のような権威や権力、暴力など子どもとの力の差を行使してのしかかるような圧力をもったタイプの毒親のことです。
暴力や暴言などを躾と称しておこなうタイプで、特に父親に多いタイプです。
支配型の支配は精神的に裏でコントロールする(過干渉や共依存など)場合ではなく、絶対君主の王様のような力の支配のことを指しています。
そもそも子どもにとって親は神様のようなものなのに、支配型の毒親はさらに圧力をかけて、全く逆らえない状態を生み出します。
毒親の支配型の詳細はこちらで解説しています。→毒親タイプ:支配型の父親とは?
毒親タイプ診断:否定型
毒親の否定型とは、様々な形の否定(存在否定、人格否定、性の否定、意思や感情の否定、自立や成長の否定、子どもの優位性の否定等)をすることで、子どもの心を踏みにじり、大人になってからも人生や心理面に生きづらさを植え付ける毒親のタイプのことです。
否定型の毒親自体の肯定感が低いために、他者(身近な自分の子ども)を否定することで自分の優位性を確認するのです。
毒親の否定型についてはこちらで詳細を説明しています。→毒親タイプ:否定型とは?
毒親タイプ診断:無関心型(放置型)
毒親の無関心型(放置型)とは、自分自身も毒親育ちのために、過去のトラウマや思考の歪みのせいで、情緒的な部分が育っておらず、子育てや子どもに対して関心が薄くなりがちなタイプのことです。
子どもへの虐待にネグレクト(育児放棄)が含まれますが、最たるものがネグレクトであって、そこまでいかないにしても無視や無関心は子どもの人生に暗い影を落とします。
また、両親のうち一人が子どもを虐待をするのを、片方の親は知っていて見逃す場合があります。
そうすると、子どもの記憶には「いざという時に助けてくれない親」という形で残ります。
これも身近な人間が信用に値しない、安全をもたらさないという深い傷つき体験になります。
毒親の無関心や放置の詳細はこちらです。→毒親タイプ:無関心型(放置型)とは?
毒親タイプ診断:過干渉型
毒親タイプの過干渉型とは、子どものためと言いながらも、自分の見栄や世間体、理想など「自分の欲求」を満たそうと子どもの行動や身なり、習い事や学校、友人関係、恋愛や結婚まで、なんでもかんでも口を挟み干渉してくるタイプのことです。
過干渉の主語は「親」のために、子どもの願望は一切含まれていません。
過干渉と過保護の違いは主語の違いです。
ちなみに過保護は主体が子どもなので、わがまま放題にさせるということです。
過干渉はすべてが親目線での干渉なのです。
毒親の過干渉の詳細はこちらです。→毒親タイプ:過干渉型とは?
毒親タイプ診断:共依存型
毒親タイプの共依存型は、親が親の責任を果たさずダメな親を演じることで、子どもが親離れしづらい環境を作り、ずっと世話をさせるようなタイプや、過干渉型のように親が世話をしまくることで、子どもを自立させず縛り付けようとするようなタイプがあります。
アダルトチルドレンでは、イネイブラータイプや、ケアテイカー(リトルナース)タイプ、プラケータータイプ、ヒーロータイプなどが共依存傾向があります。
共依存型の毒親は、両親自体や、祖父母との関係も共依存の場合が多く、世代間連鎖が色濃く表れます。
共依存の親子の詳細はこちらです。→アダルトチルドレン(AC)の共依存の親子関係とは?
毒親タイプ診断:毒親の父親の特徴
毒親の父親は、男性特有の特徴である攻撃性が外に向くために、わかりやすくは暴力や虐待、精神的な虐待など力づくのものに表れやすいです。
上のタイプのイメージでは支配型や否定型が多いような印象です。
例えば、昔の頑固おやじのような、すぐに手を上げて怒鳴るような短絡的な人も毒親の男性にありがちです。
毒親の父親の詳細はこちらで解説しています。→毒親の父親の特徴
毒親タイプ診断:毒親の母親の特徴
毒親の母親の特徴は、女性としての特徴である感情の揺れの大きさや、子どもとの精神的な分離が出来ていない部分で表れやすいです。
例えば、ヒステリックに怒ってしまったり、わめくなど、そして過干渉や共依存などがあげられます。
上の頑固おやじを支える共依存的な母親もわかりにくいですが毒親です。
例えば、どちらかが暴力をふるったり暴言を吐いているのを、知っていて「見過ごす」タイプは毒親なのです。
毒親の母親の詳細はこちらで解説しています。→毒親の母親の特徴
毒親育ちの特徴
毒親育ちの特徴とは、毒親に傷つけられたトラウマや歪んだ思考パターンなどにより、成長して大人になってからも人生の様々な場面で起きる不安や緊張などのマイナスの心理面や、人間関係の構築における生きづらさがあげられます。
毒親育ちの子供が毒親から植え付けられる心理や行動の特徴は次のようなものがあげられます。
- 自己肯定感が低く、自己否定感が強い
- 他人の顔色をうかがう
- 他人の感情に引きずられる
- 完璧主義・白黒思考
- 愛情がわからない(無条件の愛を注がれていない)
- 見捨てられ不安が強い
- 試し行動をする
- 自信がない、自己評価が低い
- 他者評価を以上に気にする
- 他人に対する根底の不信感や猜疑心
- 自分らしさ、自分の性を出せない(女らしさや男らしさを出せない)
- 相手に依存しやすい
- 共依存相手を求める傾向(ダメ男などを引き寄せる)
- 罪悪感を感じやすい
- 自分を責める傾向が強い
- 他者を責める傾向が強い
- 感情や意思を抑圧している
- 言いたいことが言えない、わからない
- 期待に応えようとする
- 自分の本心ややりたいことがわからない
- 優柔不断、判断や決断が苦手
- 責任を取りたくない
- 失敗や挫折が怖く、チャレンジをしない、出来ることしかしない
- 嫌われたくない、流されやすい
- 毒親のことが嫌いなのに気づくと同じことをしている
- 恋愛や結婚が怖い
- 恋愛や結婚をしたいが自分から関係を壊してしまう
- 大切にしてくれない恋人を選びがち
- 子育てで非常にイライラしてしまう
- 利用される、騙される
- 孤独感を感じやすい
- 不安や緊張感が高い
- 権威に対して反抗しやすい
- 実家から離れられない、いつも両親が心配
- どうせ…、でも、だって、が口癖
- 自分の存在価値を低く感じる
- 必要とされたい思いが強い
毒親育ちの男性の特徴
毒親育ちの男性の特徴は、上記のような特徴に加えて、男性的な「攻撃性」というものが入る可能性があり、支配的なタイプになることがあります。
また、毒母からの共依存関係が絡むと、マザコンタイプになり、一見女性受けが良さそうな優しいタイプに見えますが、いつまでも母を頼り肩を持つような男性になり、恋愛では苦労します。
また、ダメ男タイプや恋愛で試し行動タイプになり、女性を困らせるような場合もあります。
毒親育ちの男性の詳細はこちらです。→毒親育ちの男性の特徴
毒親育ちの女性の特徴
毒親育ちの女性の特徴は、上記のような特徴に加えて女性らしさが加わり、男性が攻撃性を外に向けるのと違い、自分を責める傾向が強くなります。
すると自分に対してダメ出しが強くなり、自罰的な行動(過食嘔吐や自傷行為など)が起きたりします。
また、アルコール依存症の夫を支える妻のように、代表的な共依存関係に陥るのも女性特有の優しさから来るものと言えます。
ただ、この優しさは問題を大きくしても解決には向かないために注意が必要なのです。
毒親育ちの女性の詳細はこちらです。→毒親育ちの女性の特徴
毒親育ちが毒親にならないための対処法
毒親育ちの子供たちは、毒親のせいで自分自身の自己肯定感が育っておらず、人間関係でも苦労をし、世代間連鎖を起こす可能性があります。
毒親育ちの子供たちが気を付けるポイントをいくつかお伝えします。
これらは心理的な面が主に重要ポイントとなります。
コミュニケーションの苦手を理解しましょう
学校でも社会でも、人間関係にはコミュニケーションが必須になります。
毒親育ちの人たちは次のような傾向がありますので、注意もしくは改善が必要です。
- 対人恐怖症、あがり症、赤面症などがある
- 過度に相手の感情や顔色を気にする
- 他者評価を気にしすぎる
- 過干渉されやすい
- 共依存に巻き込まれやすい
- 距離感を間違いやすい(近すぎ遠すぎ)
- 親のような人は苦手
- 相手の気持ちがわからない
このようなコミュニケーションの課題もカウンセリングでは改善することが可能です。
毒親育ちは毒親育ちを引き寄せる
また、毒親育ちの傾向として毒親育ちの人を引き付ける可能性が高いです。
例えばですが、親がアルコール依存症の場合に、子どもがパートナーにアルコール依存症の人を選ぶ確率がものすごく高いということがわかっています。
ですから、毒親育ちの人が毒親育ちの人を引き寄せて恋愛や結婚をした場合には、世代間連鎖を起こして子どもの人生を苦しめてしまう可能性が高いです。
これらも意識的に注意や改善が必要です。
毒親育ちの人は子育てでも困りごとが多いです。→毒親育ちは子育てが辛い
自分を責めない
毒親育ちの人たちで、自分を責める傾向のある人たちは、自分責めや自罰的な行動をやめることが必要です。
他人を傷つけるわけではないので、別にいいのでは?と思うかもしれませんが、これで苦しみがなくなることは一切ありません。
むしろ、自責や自罰は自分をさらに深い苦しみに落としてしまう行為なので、抜け出せる道では決してあり得ないのです。
むしろ、どんな自分でも認め、褒めて、許すという行動が必要です。
親を許すのではなく、自分が楽になるために、自分に慈愛をかける必要があります。
簡単なものでは、日記などに自分を褒めたり、認めたり、許したりという言葉を書きます。
毎日少しずつでも自分に優しい言葉をかけていきましょう。
他人を責めない
毒親育ちの人たちで他人を責める傾向の人たちもいますが、これも心理的には解決せず、自分が余計に苦しくなるだけです。
上のように、他人を許す必要はありませんが、自分が心理的に楽になるために、日記に同じようなことを書くことをお勧めします。
自分を褒める、認める、許すという言葉がけが、徐々にあなたの怒りを癒していくことでしょう。
実は自分責めも他人責めも、結局自分が苦しくなるので、心理的にはどちらもやめた方がいいのです。
毒親育ちが毒親にならないための解決策
では、毒親育ちが毒親にならないための解決策はあるのでしょうか?
少し前に、自己愛型のパーソナリティの可能性があるので「解決は難しい」と言ったのを覚えていますか?
それを踏まえてお読みくださいね。
長い時間をかけて毒親を説得する
もしも、万が一あなたの毒親が自己愛型のパーソナリティの場合、説得はあきらめてください。
がっかりしちゃうと思いますが、それくらい自己愛型の人は自分のことしか考えていません。
逆に、そうではない場合は、もしかしたら長い説得の上に理解をすることもあるかもしれません。
ただ、親が話を聴かない、謝らない、気持ちに寄り添わないなどの場合は、自己愛型の可能性が高いので即あきらめましょう。
そのうえで、次のことを考えましょう。
毒親と距離を置く
もしも出来ることなら、毒親と距離を置くことが自分の心理的な安全には一番有効です。
すぐには親が来れない距離に一人暮らしをしたりすることが一番手っ取り早いです。
これは冗談抜きで、カウンセリングのクライエント様にもお伝えしています。
そのうえで、電話に出ない、こちらから連絡をしない、職場を教えないなどをすることが重要です。
毒親育ちを克服する講座やカウンセリングを受ける
毒親から離れたうえで、スッキリと問題がなくなったのなら、これからは幸せな人生が待っています。
ただ、もしも毒親のトラウマや思考の歪みの影響で、離れているのに恋愛や夫婦間、子育てなどで生きづらさを感じているのなら講座やカウンセリングが必要です。
NLPでは毒親育ちのあなたの過去のトラウマやコミュニケーションの歪みを、無意識レベルで癒して変化させて現在に響かないようにしてしまいます。
トラウマがあると、同じような人間関係や境遇を引き寄せて、自分も同じようなことをしやすいことがわかっています。
それが世代間連鎖なのです。
毒親育ちの生きづらさを変える方法
毒親育ちを克服するには、潜在意識がもっている過去の経験のつらい記憶を癒していくことが近道です。
そうすると、今まで囚われていたパターンから抜け出します。
もし、毒親育ちも人生もまるっと改善したいなら、どうぞ↓をご覧くださいね。
毒親育ちも人生もまるっと好転したいなら↓