毒親育ちの人たちの中で、最近「搾取子」と「愛玩子」という言葉が使われています。
搾取子は「さくしゅこ」「さくしゅし」と読み、愛玩子は「あいがんこ」「あいがんし」と読み、特に決まっていないようなのですが、ネットスラングで自然発生した言葉だからのようです。
毒親の子育ての問題の一つに「きょうだい差別」があります。
この毒親のきょうだい差別の理由や問題を、「搾取子」「愛玩子」の役割や関係と合わせて詳しくお伝えしたいと思います。
- 搾取子・愛玩子とは?
- 毒親がきょうだい差別をする理由
- 毒親のきょうだい差別の連鎖をやめるには?
この記事では、毒親のきょうだい差別の理由と、搾取子・愛玩子についてがわかります。
目次
搾取子とは?あからさまに毒親に虐待される子
搾取子とは、毒親にあからさまにいじめられたり、暴力や暴言を吐かれたり、虐待されたりする存在の子や、家事としての労働力や、金銭的な労働力、そして親の面倒を見ることなどを当たり前に期待される「あらゆる行為を搾取される子」という意味です。
いわれもなく攻撃をされてストレスのはけ口のような扱いを受ける子どもや、親の代わりに親の様々なことを肩代わりする子どものことです。
虐待の中にはネグレクト(育児放棄)もあり、食事を作ってもらえない、かまってもらえない、一人だけ気にかけてもらえないなども含まれます。
また、毒親が精神的な病気や依存症などで、親の役目を果たせない時に、生活のために代わりに親の役をしなければいけない状態の子も搾取子です。
食事を自分で準備することが、通常の子どもの領域を超えていたり、家事全般を幼いころから押し付けられるのもそうです。
毒親の子どもに「きょうだい」がいた場合は、あからさまなひいきによって、きょうだいからもいじめを受けたりすることもあります。
そして、何か悪戯や悪いことが発覚した時には、いわれのない罪を背負わされ、一人だけ攻撃を受けます。
具体的な事柄は、他にも「学校に必要なものを買ってもらえない」、「一人だけお金をかけてもらえない」、「家族の外出で一人だけ留守番をさせられる」「存在をないものと扱われる」などがあります。
他にも大人になってからも、あからさまに金銭的に頼られたり、親の面倒を見るのを当たり前のような雰囲気で頼られたりすることがあげられます。
搾取子のポイントは、親の都合を当たり前のように押し付けられて、子供の意思や感情、人格を尊重されない関わり方をされる子どもということです。
搾取子をアダルトチルドレン(AC)のタイプに置き換えた時には、わかりやすく非難されるのはスケープゴート、親の代わりをさせられるのはイネイブラー(ケアテイカー・リトルナース)と言えるかもしれません。
こちらもお読みください。→アダルトチルドレンタイプ診断
愛玩子とは?あからさまにえこひいきをされる子
愛玩子とは、搾取子と表面的には真逆で、ひいきをされたり、溺愛をされる側の子どもです。
欲しいものを買い与えられたり、必要以上にかまわれたりして、猫かわいがりされます。
溺愛と言われると、愛情たっぷりで「良い面」なの?と思いがちですが、実は人間扱いというよりもペットや所有物のように、毒親の世間体や見栄、自己愛、自己満足を満たそうと使われている存在です。
毒親からの期待や理想を一身に背負わされ、期待通りや言いなりでいるように仕向けられます。
子どもというものは、自分の自由意思や自由な選択、感情を尊重されて健全に育っていきます。
ですが、愛玩子は親の満足を満たすための道具なので、可愛がられているようで、実は生きづらさを抱えています。
愛玩子をアダルトチルドレン(AC)に置き換えた時には、理想を演じるお人形のプリンス(プリンセス)や期待を背負って頑張るヒーローと言えるかもしれません。
こちらもお読みください。→アダルトチルドレンとは?
毒親によってきょうだいが仲が悪くなる
毒親が搾取子と愛玩子を差別することで、きょうだいの仲も悪くなります。
毒親の場合、愛玩子の前であからさまに、搾取子の悪口を言ってみたり、「それに比べてあなたは可愛い」などのセリフを吐き、洗脳状態を作ります。
そのようなことが幼少期から長く続くことで、愛玩子はどんどん搾取子への洗脳を深めます。
また、毒親は搾取子を愛玩子と一緒に責めることで、すべての責任を「搾取子のせい」のようにみせかけます。
そして、毒親の洗脳は愛玩子にとって、「搾取子のようになりたくない」という意識を生むため、愛玩子は自分を押し殺し、愛玩子に徹するということが起きます。
搾取子と愛玩子のセルフチェックの詳細はこちらです。→搾取子・愛玩子診断チェック
毒親のきょうだい差別の心理:なぜ差別をするのか?
毒親がきょうだい差別をするのは、結論的には「自分の存在を守るため」です。
愛玩子は自分の見栄や世間体など自己満足を満たし、搾取子は見下すことで優越感を満たすとも言えます。
すると、どちらにしても優越感を感じるわけですが、優越感を感じたい人は根底の自信がありません。
毒親はまさにそうなので、良いことは自分のおかげ、悪いことは相手のせいという考えかたで、自分の存在価値を究極的に守ろうとしているのです。
カウンセリングにいらっしゃる方でも、そのような毒親のかたくなさに困っている方が多く見受けられます。
毒親の母親と話し合おうと、説得したことのある30代女性のKさんは、次のように言っていました。
Kさん
わたしの母親は話しても話しても「絶対譲らない、謝らない、相手の気持ちを理解しようとしない」で、子どもは親の言うことを聞くものだと言います。
うちの母親は、ああ言えばこう言うなのですが、指摘すると「あなたでしょ!」と怒るので全く話がかみ合わない上に、「あなたと話すと具合が悪くなる。あなたのせいよ。」と言います。お手上げです。
毒親のこの手の防御はものすごいです。
根底には毒親本人の自己肯定感の低さがあるためですが、何を言っても無駄と感じた時には、戦わないでいかにやり過ごすかを考えるのが手です。
毒親のいる機能不全家族の詳細についてはこちらです。→機能不全家族とは?
自己愛型の毒親は自分が可愛い
自己愛型の毒親の場合は、一番かわいいのは「自分」です。
愛玩子を可愛がるのは、自分が「良い親」「優れた子の親」という自慢や見栄を満足させたいからなのです。
そして、搾取子をいじめるのも同じです。
育てにくい子がいた時に「自分が変わろう」とは決して思わないのが、自己愛型の毒親の特徴です。
育てにくいのは、その子のせいで「自分は一生懸命やっているのに」という理屈で、学ぼうとはしません。
ですから、育てにくい子を変えようと必死になり、結果として面倒くさくなって搾取子にしてしまうのです。
その場合、毒親は「あんたといると具合が悪くなる」などのひどい台詞を吐くこともあります。
愛玩子を見栄に使いやすい毒親の母親の詳細はこちらです。→毒親の母親の特徴
満たされていない毒親は相手の気持ちがわからない
人間というものは、他者や相手の気持ちを理解しようとしたり、汲み取ろうとして歩み寄ります。
ですが、毒親は極端にこの部分が欠けている可能性があります。
毒親は、子どもを通して自分を満たすために必死ですが、その子どもの気持ちを全く考えていません。
自分が出来なかった習い事を習わせたり、行けなかった大学を目指させたり、就職や転職、交際や結婚にまで口を挟むこともあります。
そして、結果が表面的に良かったら大満足で「私のおかげでこうなれたんだから、もっと私を褒めなさい」のようなセリフまで吐きます。
本来、導くのは良いにしても最終的に「私を褒めて」とはどういうことでしょう。
この部分が自己肯定感の低さの表れなのです。
その割に、誰かに文句を言われようものなら被害者ぶって「私の気持ちがわからないの?」と言います。
いや、みんなあなたの気持ちに本当に困っているのですよ。
ちなみに毒親の父親も子どもの進路に口を出してきます。→毒親の父親の特徴
搾取子は家族の歪みを隠してくれる
搾取子の子は生贄になっていることで、毒親の歪みを自分で引き受けているとも言えます。
きょうだい差別もあり、毒親からも否定され、わかりやすい行動としては反抗したり非行に走るような子がいます。
すると、周囲の世間体からも「困った子」の烙印を押されるので、この子が家族の歪み「代表」として認定されます。
そして、毒親は親せきなどから「頑張っているのにあんな子がいて、あなたも苦労するわね」という見せかけの図式を生み出し、自分の地位を相対的に底上げします。
また、愛玩子がいると、搾取子だけを敵に回す「チームワーク」のとれた家族になれます。
搾取子はすべてを背負い、家族の歪みを背負って生きるのです。
搾取子の特徴は特にひどいとスケープゴートタイプに表れます。→アダルトチルドレン:スケープゴートとは?
愛玩子は毒親の自己愛を満たしてくれる
愛玩子は、子どもの頃から毒親のために頑張ります。
ただ、毒親の見栄や自慢のために生きることは、自分の意思や感情をはく奪されているのです。
自由意思を奪われていると、多くの人に起きるのが「生きづらさ」です。
漠然と生きづらい、緊張や不安が高い、人間関係や恋愛が苦手だったりします。
また、愛玩子は毒親の監視下に四六時中さらされているとも言えます。
すると、起きやすいのが自傷行為や摂食障害や頭痛などの身体症状です。
でも、毒親も本人も「なんでそうなるのか」気が付きません。
自由な意思や感情の表現が出来ないというのは、思いのほか子どもを苦しめて、歪みとして違うところで爆発するのです。
無意識レベルで「助けてくれ」と訴えているのです。
ですが、子どもの意識は「こんなになって親を困らせて、私は悪い子だ」なんて自分を責めて、余計悪化したりします。
アダルトチルドレンの生きづらさの詳細はこちらです。→アダルトチルドレンの生きづらさ
毒親ではない子育てを頑張ってる親御さんの心理
私、毒親かな?と心配している親御さんもいると思います。
自分が世代間連鎖を止めたくて、この記事を読んでいる親御さんは、「毒親」とまでは言わないでしょう。
なぜなら、本当の毒親の方は、ショックを回避するために読みません。
ただ、子どもを軸に考えた時には、子どもの受け取り方で様々なことが起きます。
毒親とは言わないまでも、子育てにおいて少しでも負の連鎖を止めたいのであれば、次のような考え方も参考にしてください。
子どもは全員人格が違う
生まれてくる子は、最初から性格も人格もまったく別の存在と理解すると、対処しやすいかもしれません。
性別が違うのはもちろんですが、兄弟姉妹みんな元の性質は違っているものです。
たとえ、兄弟であっても、あなたから皆生まれていても、最初から人格は違います。
子どもが生まれると、特にお母さんは自分と子どもの境界線の線引きに悩むかもしれません。
ですが、一人ひとりの人格を尊重して、子どもの考えや感じ方を尊重できれば、それは子どもに伝わり、自己肯定感が育まれます。
育てにくい子がいるのは確か
お母さんの中で、「初めの子は良かったけれど、2番目が可愛くないのよね。」という人も大勢います。
そう思ってしまう原因が、先ほどの「一人ひとり人格が違う」からなのです。
育てにくい子がいるのも確かですし、発達障害や、母親と子供の相性の問題もあります。
ですから、自分の子どもなのに…と必要以上に落ち込まずに、これは当たり前と割り切って「相性悪いけど、尊重してあげよう」と関わってみてはいかがでしょうか。
過去の自分と比べてしまう
ある時40代女性Rさんがカウンセリングにいらっしゃっいました。
その彼女のお悩みは、自分の2人の子供(姉妹)の長女に対してだけきつく当たってしまうということでした。
Rさんは大人になって結婚して、実家から出てますので、ご主人を含めた家族4人暮らしです。
カウンセリングにあたって、Rさん自身の子供時代の家庭環境を尋ねてみると、父母と姉妹の4人家族でした。
そして、Rさんは生まれが姉妹のうちの「長女」だったのです。
ご両親はご健在で、大人になってからは穏やかになったそうですが、幼少期はなにかと「お姉ちゃんなんだから」と厳しくしつけられたそうです。
その上、お話を聴いてみると、RさんとRさんの娘(長女)さんとは、少し性質が違います。
Rさんは、我慢して言う通りにするタイプですが、娘さんは自由にのびのびするタイプのようです。
なんとなく見えてくると思いますが、Rさんは長女なので「長女とはこうあるもの」という価値観が出来ています。
だからこそ、のびのびタイプの娘さんに対して「許せない」気持ちが生まれてきてしまうのです。
このように、自分の子どもの長女に対して思い入れが強くなるなんてこともあります。
心理学的には、自分を投影してしまうと言いますが、過去の自分と比べてしまうことで、必要以上に他の子と比べて行動してしまうということです。
自分が長女気質で「自由がなかった」と感じていたら、遊ぶ長女を見るだけで腹を立てたりするような例が挙げられます。
ただ、そうするとご自身の子どもの生まれで、親と同じように差別を繰り返してしまうことがあります。
自分がどちらかの子に対してだけ、特に反応しているなと感じたら、お母さんに子どもの頃の何かの思いが残っているのかもしれません。
毒親育ちの詳細はこちらです。→毒親育ちの特徴とは?
自分の子どもにきょうだい差別をしないためには
毒親ではない親御さん、毒親から卒業して家族を持ちたい人、きょうだい差別をしないためには何が出来るでしょうか?
知らず知らず、毒親と同じような行動をしないためには、どうしたらいいのでしょうか?
自己肯定感を上げる
もしかしたら、自己肯定感の低さから子どもに対して差別をしてるかも?と思った親御さんは自己肯定感を上げましょう。
例えば、日記を毎日書いて、自分のことを褒めるというのも一つの手です。
その時のコツは、出来たことを褒めるのではなく、なんでも褒めること。
ハードルの設定は一番低くしていいのです。
何もできなくても、あなたの存在自体を褒めるて認める練習です。
「今日は、朝も普通に起きて偉かった」などを日記に書いて、ありのままの自分を肯定しましょうね。
心のゆとりを
ストレスが多くて心にゆとりがないと誰かを批判したり、非難したりすることが起きます。
本当の自分の時間をとって、子どものためじゃない時間を作り、ゆったりとくつろいでも良いかもしれません。
運動や良質な睡眠に気を付けたり、外に出てお日様に当たりましょう。
お茶や楽しい時間、友達との時間を余裕をもって過ごしましょう。
あなたのゆとりは、子どもにとっていい影響を与えます。
ぐっすり眠ってストレスを解消することも必要です。→夜すぐにぐっすり眠れる方法
一人で抱えない
愛玩子の話でも出ましたが、気持ちや感情・意思を吐き出す時間を持たないと、身体の症状に出ることがあります。
育てづらい子どものことや、子育てについて一人で抱えずに、友人やママたちとシェアすることが大切です。
気持ちが晴れることは、誰にとっても大切なことなので、一人で抱えているなと思ったら、誰かと共有することをお勧めします。
講座やカウンセリングを受ける
自分の親が毒親の場合に、「されたことをしてしまう」ということが起きることもあります。
そういうパターンを解消するのは、無意識レベルであなたの経験を癒すことが必要です。
もしも、漠然とした生きづらさや、負の連鎖を繰り返しているなと思ったら、カウンセリングをすることをお勧めします。
きっと、きょうだい差別をしなくなり、穏やかな日常を過ごせるようになりますよ。
搾取子も愛玩子も、世代間連鎖を止めたい親御さんも心を軽くすることが出来ます。
毒親育ちの生きづらさを変える方法
毒親育ちを克服するには、潜在意識がもっている過去の経験のつらい記憶を癒していくことが近道です。
そうすると、今まで囚われていたパターンから抜け出します。
もし、毒親育ちも人生もまるっと改善したいなら、どうぞ↓をご覧くださいね。
搾取子・愛玩子などのチェックの他にも、アダルトチルドレンのタイプ診断などが出来ます。
自分の傾向を知ると対処法が掴めるようになりますよ。
搾取子も愛玩子もまるっと人生好転したいなら↓