NLP(神経言語プログラミング)の中のスキルにミルトンモデルがあります。
ミルトンモデルは、無意識的に届きやすい言語表現メッセージを使うことで、相手の心理変化を促すことが出来る効果的なスキルです。
- NLPのミルトンモデルとは?
- ミルトンモデルの催眠言語パターン12個とは?
この記事を読むと、ビジネスやカウンセリングなどにも効果的な、人を動かすミルトンエリクソンの催眠言語パターンを知ることが出来ます。
目次
NLPのミルトンモデルとは?
ミルトンモデルとは、精神科医で天才催眠療法家でもあるミルトン・エリクソン博士のクライアントに対するセッションの会話方法から、相手の無意識に効果的に影響を与える言葉の活用方法を、体系的かつ具体的に抜き出した催眠言語パターンです。
催眠はクライエントの状態に変化を与えるために使うものです。
ミルトン・エリクソン博士がどのようにクライエントの状態を導いていったか、その特徴的な言葉遣いを、次の12パターンでおおまかに説明します。
ですが、催眠言語よりも最初にクライエントとラポールを形成するのは言うまでもありません。
ラポールは関係性を表すフランス語で心理学用語として使われるときは、「良好な信頼関係」の意味で使われます。
相手に対して、ペーシングやミラーリング、キャリブレーション、バックトラッキング(オウム返し)などのラポール形成スキルを使って、催眠誘導に入っていきます。
ラポールについて詳しい説明はこちらです。→ラポールとは?
1:単純接続詞
もっとも弱い「つなぎ」を作りだし、クライエントの状態を誘導します。
単純接続詞の「そして」を使う言い方です。
「あなたはそこに座って私の話を聴いています。そして、身体のどこからかリラックスしていきます。」
2:暗示的原因
先ほどの「そして」よりも少し強い「つなぎ」で時間的な関連性を確立しながら表現します。
「の時」「につれて」「の間に」などの言葉です。
「あなたはそこに座っていて私の話を聴いている間に、どんどんリラックスしていきます。」
3:原因と結果(意味論的な不適格性)
因果関係ともいいます。もっとも強い「つなぎ」です。
「~することで」「~によって」などという言い方です。
意味論的な不適格性とか、意味論的な誤形成などと言いますが、要は「意味的に関連性のないもの(間違っているもの)を、むりくりくっつけました。」という意味です。
「あなたはそこに座って私の話を聴いていることによって、あなたはどんどんリラックスしていきます」
私たち人の脳は「接続詞」や「因果関係」に弱い傾向があり、そうなんだぁと思う傾向があります。
4:不特定指示指標
「あなたは【ある感覚】に気が付くことが出来ます。」というフレーズに表れるのが不特定指示指標です。
ある感覚と言われて、それを聴いているクライエントは、自分の何かの感覚を自由に感じます。
指示指標がない表現をされて、自由に選べるような言葉遣いをするのです。
不特定の動詞や名詞を投げかける使い方です。
5:選択制限違反
「あの椅子は喜びで溢れています。」というフレーズに表れます。
椅子は感情を持たないわけで、感じることが出来るのは動物や人間しかいません。
これは、言語学者が「選択制限」と呼ぶものを「破る、違反する」行為です。
このフレーズを聴くと、クライエントは「あなたは喜びで溢れています」のような文章として無意識に理解しようとします。
6:削除(省略)
削除は、文章中の様々の言葉を削除します。
その方が、クライエントが自由に自分に当てはめて聴くことができて、無意識が動くからです。
例えば、次の普通の文章を催眠言語的に削除します。
「あなたは、その大きな椅子にゆったりと腰かけて、私の話が何であるかと耳を傾けています。」
「…椅子に…座って…声に夢中です」
のような形で話すことで、無意識に届きやすくなります。
主語を削除しているものを主体の省略と言います。
7:名詞化
普通の名詞は触れるものです。例えば本や靴、野菜など具体的なものです。
名詞化は、名詞の形をしていても触れない抽象的なプロセスを表す言葉のことです。
例えば「奇跡、愛、催眠、学習、体験、理解」などです。
名詞化された言葉を投げかけられると、私たちはそれに合った「経験のプロセスのイメージ」を無意識的に想起します。
また、例えば「あなたのあの愛に溢れた休日のその穏やかな時間を思い出しましょう」というと、一人ひとりが自分の中の過去の潜在意識の体験を探ろうとします。
8:読心術
「わたしには、あなたが今、人生の色々なことに思いを巡らせていることがわかっています」のようなフレーズです。
クライエントの心がわかるかのように話しかけますが、具体的なことは言っていません。
あたかも心を読んでいるかのように話します。
9:前提
「あなたは自分が深い催眠に入っていることに気づいているだろうか、と私は思っています。」のようなフレーズです。
意識は「深い催眠に入っていることに気づいています」という答えと、「深い催眠に入っていることに気付いていません」という答えが出せます。
いずれも前提が「深い催眠に入っていること」になっていて、「気づくかどうか?」に問題をそらされています。
また、「まだ浅い催眠です」という答えと「はい深い催眠です」という答えも出せます。
これも「深さ」に意識をそらされて、催眠に入っていることが前提になっているのです。
前提が2重になっている例です。
10:会話の公準(要請)除法助動詞
難しい言い回しですが、「両手を太ももの上に置くことはできますか?」や「その扉を閉めることは出来ますか?」というフレーズに表れます。
「出来ますか?」と言われたクライエントは「はい、出来ます」という返事だけではなく「手を置く」「扉を閉める」という行動もします。
出来ますか?と聞きながら実は命令をしているのです。
11:より小さい構造の包含(挿入命令、挿入質問)
直接的な命令や質問はコミュニケーション相手が、身構えてしまうばかりでなく、拒否されることもあります。
この命令や質問を大きな文章の中に入れて、和らげて表現することで、聞き手の抵抗なく命令や質問への答えを得ることが出来ます。
挿入命令は先ほどの会話の公準と同じですが、文章をより組み込むことで、小さい構造を含むことが出来ます。
「あなたはすっかりリラックスしているだろうか、と私は思っています。」
「リラックスしなさい」という意味になります。
この文章に、質問が入ると挿入質問になります。
「あなたは出身地はどこなのだろうか、と私は興味を持っています。」
両方とも命令に応えるように行動しますが、好ましくスムーズに受けてくれることが期待されます。
また、否定命令という方法もあります。
「そんなに急いでリラックスしてはいけません」という文章ですが、私たちは想像してから消すということしかできないため、「急いでリラックス」する方向へ無意識は動いてしまいます。
12:アナログ・マーキング
会話中のキーワードになる言葉や、文章の時に、非言語の声の調子などを意図的に変えるやり方です。
「あなたが私の言葉を聞くたびに、どんどんリラックスしていきます。
「リラックス」という時に、前後の調子と変えることで、クライエントの無意識がより反応を示すようになります。
リチャード・バンドラー/ジョング・リンダー著『魔術の構造』(亀田ブックサービス 2000/8/18)
リチャード・バンドラー/ジョン・グリンダー著『ミルトン・エリクソンの催眠テクニックⅠ言語パターン篇』(春秋社 2012/4/30)
ミルトンモデルとメタモデル
NLPのミルトンモデルは、催眠言語として無意識に働きかける方法です。
一方でNLPのメタモデルは、脳の3つの仕組み(削除・歪曲・一般化)とその仕組みによる内的世界を表す12個の言語パターンの意味です。
メタモデルに対してはメタモデル質問法を使って、人の囚われから抜け出させる役割を担っています。
両者とも、無意識のリソースを活用して、人の考え方や行動の選択肢を広げる素晴らしいアプローチです。
メタモデルの詳細についてはこちらです。→メタモデルとは?
イエスセット
他にも、ミルトン・エリクソンの使ったペーシング方法にイエスセットがあります。
イエスセットは、相手にとっての事実を伝えることで、イエスを言いやすい流れを作り、交渉においても「イエス」と言わせる確立を上げる方法です。
覚えておくと、お仕事でも交渉の必要な場面で使える方法です。
NLP(神経言語プログラミング)は人生を豊かにして充実させる方法なのです。
ビジネスでも使える交渉術イエスセットの詳細はこちらです。→イエスセットとは?
トラウマ解消から自己実現まで叶える人生好転方法
トラウマを克服したり、自己実現するには、脳と潜在意識の使い方が重要です。
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